第11回プラスα 働きやすさの条件
【岡山】「この時期は特に熱中症の対策。常に凍らせたポカリスエットを準備しており、積み込みに出かける際には塩あめと一緒に持っていくように指示している」と熊谷久郎氏(三原運送有限会社 社長、笠岡市)。予備軍の1台を除き、20台の車両に乗務するドライバーは定着しているが、平均で52歳前後と年齢が上がってきたことで健康管理への意識も一段と強くなっているという。
最年長は大型の低床平ボディーに乗る72歳の男性。「幅出しや高さ(4.1メートル)、長尺物品の扱いなど積み重ねた経験で得た感覚は本人のもの」と信頼を寄せる。同社に勤めて20年以上になるらしいが、そうした功労者でもあるドライバーらを守るために約3年前から、毎日の点呼時に血圧のチェックも始めた。
「60歳を過ぎると大方のドライバーは、いわゆる基礎疾患に近いものを抱えていて、掛かりつけの病院もある。どんな薬を服用しているのかも確認するし、本人の了解をもらって血液検査の結果もコピーする。それも事務所の仕事」。過日、医者に行くサイクルが短くなったドライバーに「大きな病院に行ってみたらどうか」と助言したところ、5月の大型連休あけに大病を患っていることが発覚。「早期に発見できたことで、今は通院しながら働いている」という。
昨年9月に大型、今春には4トン車をラッピングして「コロナ禍で大変だが、少しでも明るい話題になれば」と、地元・笠岡の魅力発信をサポートする。コロナ前は年2回、近くの山で捕獲されたジビエの焼肉や、冬場は地元の牡蠣でバーベキューを催すなど社内の親ぼくを図ってきた。「とにかくコミュニケーションを以前の形に戻すこと。ポストコロナは、それを一番にやりたい」と話す。(長尾和仁)